神社を未来に繋ぐ蕎麦屋
こんにちは。町外ライターの清水隆矢です。
ヤマタノオロチ神話の主人公であるスサノオノミコトの妻・イナタヒメが奉られている稲田神社。その境内にある蕎麦屋「姫のそばゆかり庵」の山中ゆかりさんからお話を伺いました。今回は稲田神社との関わりを中心にお聞きしています。
【稲田神社との関わりについて教えてください。】
山中さん『元々、稲田神社は由緒もあり立派な建物ですが、以前はさびれていて管理も行き届かない状況だったと聞いています。そんな中、平成22年に地元出身の先代社長が「このまま神社が朽ちてしまうのはもったいない」「修繕に向けた寄付を募るためにも、まずは神社のことを知ってもらいたい」という想いで始めたのが「姫のそばゆかり庵」です。境内の中にある社務所を改装した蕎麦屋というシュチュエーションは、全国的にも珍しく当時から話題性があったそうです。それから数年が経ち、縁あって私たち夫婦にお店を引き継がないかという話をいただきました。私たちが継がなければお店自体がなくなるかもしれず、神社も再びさびれるかもしれないと聞き、そうはしたくないと思ったこともあり継ぐことにしました。偶然お店名が私の名前と一緒だったことにも、なんだかご縁を感じましたね。今は、蕎麦屋の経営の傍ら、神社に関わる仕事もさせてもらっていますよ。主人は、神社の番をする「宮守」も仰せつかっています。平成30年には、古くなって朽ちかけていた本殿の修繕が寄付金を募って行われ、私たちも関わりました。一度拝殿に移していたご神体を、本殿に戻す「遷宮」も経験させていただき、貴重な体験となりましたよ。』
(山中ゆかりさんと、旦那さんで店主の将道さん)
【お店のこだわりについて教えてください。】
山中さん『自家栽培した食材を使うことを、お店のコンセプトにしています。奥出雲の在来種である「横田小そば」をはじめ、野菜やシイタケ、ブルーベリーなど色々と育てています。お米も、はで干しでつくっていますよ。夏場は、食材の9割方を自家栽培のもので賄っていますね。横田小そばは、収穫量も少なくほとんど町外に出回らない品種なので、是非奥出雲までお越しいただいて味わってほしいです。」
<あとがき>
ヤマタノオロチ伝説の舞台である奥出雲町は、神話にゆかりのある文化や史跡が多く残っており、暮らしの近くに神話を感じられる場所です。「姫のそばゆかり庵」は、そんな地域で大切にされてきた伝統ある稲田神社を、維持しつつ外部の人にも親しんでもらうため大事な役割を果たしています。神社の中にある蕎麦屋というインパクトもさることながら、自家栽培の食材を使った丁寧な料理は非常におすすめなので、是非訪れていただきたい場所です。
姫のそば ゆかり庵
〒699-1821 島根県仁多郡奥出雲町稲原2128−1
TEL 0854‐52‐2560
定休日 火曜日・第三水曜日
営業時間 11:00~14:30
11月2日~11月18日まで新そばまつりも開催中です!