住民が得意分野を活かす、三沢地区の交流づくり
糸原健二さん
町外ライターの清水です。奥出雲町三沢地区で地域づくりに取り組む、「とんぼの会」の糸原健二事務局長にお話を伺いました。平成22年に地域の有志で結成されたとんぼの会は、古民家を改築した「みざわの館」の運営を中心に地道な活動を続けておられます。
【とんぼの会の活動内容について教えてください】
糸原さん『私たちの住む奥出雲町三沢地区は、近年少子高齢化が進行し、空き家も増えてきました。そんな状況に寂しさを感じていた有志が、なんとか地域に交流人口や定住人口を増やし、活性化に繋げたいと平成22年にとんぼの会を設立したんです。まずは、地区内の眺望のいい場所にあった一軒の空き家を、役場に協力してもらい改築し「みざわの館」と名付けました。宿泊や田舎料理の提供などができる施設として、会員で協力して運営しています。また、各種野菜の畑も、普段から会員で管理しており、来館者に提供する料理に自分たちで育てた食材を使っていますよ。他にも、サツマイモや柿などの収穫体験、炭焼きや草履づくりといった昔ながらの手仕事体験などのイベントも行っているんです。こうしたイベントでは、地元に住んでいる方に講師としてご活躍いただいています。
とんぼの会の会員は、その名の通り「この指とまれ方式」で集めたんですよ。決して、地区の役職者などに強制的に参加してもらうのではなく、やりたい人を募って自主的に集まってもらいました。会員は現在31 名いて、それぞれが料理、農作業など得意分野を活かしながら活動しています。』
【施設を活用されるお客さんはどんな人が多いですか?】
糸原さん『みざわの館は、山陰有数の山城である要害山三沢城跡登山口のという山の近くにあります。そのため、登山客の方にはよくご活用いただいています。また、奥出雲や島根の観光の拠点として宿泊されるご夫婦連れなどが多いですね。小高い場所にある上に、8畳の和室3部屋をはじめ広い施設を一棟丸ごと貸し切れるので、宿泊者からは「ゆっくり過ごせる」と好評です。』
【提供される料理はどんなものですか?】
糸原さん『煮しめなど、田舎ならではの料理をお楽しみいただけますよ。会員で協力して育てた野菜や柿、原木椎茸などを含む、地元産の食材にこだわっています。なお、煮しめなどは事前の準備が必要なため、1週間前までにはご予約いただくようにしていますね。』
【三沢地区の特徴について教えてください】
糸原さん『よく、地区外の人から「三沢地区はまとまりがあるね」と言われます。地域を何とかしたいという想いを持った人が多く、団結力があるのが強みだと思います。だからこそ、とんぼの会も「この指とまれ方式」でたくさんの人が集まって、活動ができているんでしょうね。』
【これからやりたいことは何ですか?】
糸原さん『今後の課題として、私たちが今まで取り組んできた様なことをどう次世代に繋いでいくかということがあります。会員の平均年齢が高くなってきているので、もう少し若手にも入ってもらえると活気が出そうです。』
谷あいに美しく広がる田園風景。6月には蛍が乱舞する三沢川。要害山城跡に代表される史跡の数々。そんな、魅力あふれる三沢地区を未来に繋ぐきっかけをつくるべく、地元の皆さんが一歩ずつ取り組んでいます。なお、今後はみざわの館を、奥出雲に移住を考える人にも活用してもらいたいとのこと。実際、落ち着いた環境で過ごせる上に地域の人とも関われるこの施設は、奥出雲への移住に向けた見学の滞在拠点にも適していそうです。
【住所】
〒699-1513 島根県仁多郡奥出雲町河内36
【電話番号】
0854-54-1060
【ホームページ】
http://yakata.mizawa.com/
【交通手段】
JR出雲三成駅から車・バスで10分