常に進化を続ける、泊まれる博物館。
宇田川 和義さん
町外ライターの清水です。奥出雲多根自然博物館の宇田川和義館長にお話を伺いました。
奥出雲多根自然博物館は、恐竜や宇宙の神秘を体感できるミュージアムと、宿泊施設・レストランを兼ね備えた全国でも珍しい施設です。宿泊者が夜の博物館を体験できる「ナイトミュージアム」などの特色があります。元々は1987年に地元出身でメガネの三城創業者の多根家により町に寄付されたのがはじまりで、現在は公益財団法人として運営されています。
【奥出雲多根自然博物館の近況はいかがですか?】
宇田川さん『当館は、泊まること自体が楽しい博物館というコンセプトのもと運営していますが、新しい取り組みも常に行っています。その甲斐もあり、全国各地から多くのお客様にご来館いただいていますよ。近年はSNSで情報が拡散していただけることや、恐竜ブームも相まって、立地的なハンデを感じさせないぐらいに来館数は伸び続けているんです。』
【近年の新しい取り組みを教えてください。】
宇田川さん『建物自体は33年目になり古くはなってきましたが、その使い方は絶えず進化し、新しい風が吹き込まれていますよ。例えば、宿泊施設のうち7部屋を「恐竜ルーム」として模様替えしました。恐竜の模型や絵、本物の化石に囲まれて泊まれるような部屋にしたところ、お子さんを中心に大好評です。今後も、「宇宙」や「地球と生命」をコンセプトとした新しい部屋をつくり、泊まれる博物館らしい施設にしていきたいですね。
また、6階の展望レストランでお客様に提供するお食事は、奥出雲町特産のキノコを中心に季節ごとの地元野菜を使用する「奥出雲薬膳キノコ鍋」を当館のオリジナル料理とました。さらに、奥出雲和牛を楽しみたい方には「キノコ牛鍋」などもご用意しております。なお、朝食はお一人おひとりに名物仁多米の土鍋炊きごはんをお出しし、喜ばれています。
他にも、松江高専さんに共同研究という形で、館内で使用する映像を制作してもらっています。床を歩くと1億数千万年前の恐竜の世界が広がるような仕掛けや、タブレットに自分で描いた絵がフロアに飛び出してくるようなコーナーです。
それと、当館の体験交流施設として古民家を借り、そこを拠点に宿泊者に農業体験などをしてもらう「奥出雲百姓塾」も始めました。昔ながらの田植えや収穫体験を通じ、素朴な農村生活の知恵や、暮らしの原点を肌で感じてもらいます。裸足で田んぼに入ったときの土の感触は、特に都会で暮らすお子さんたちにとっては忘れ難い経験となるはずです。』
【奥出雲町の魅力について教えてください。】
宇田川さん『奥出雲町の土地が持つ、不思議な魅力があるように思います。当地を訪れていただいた方から「ここに来るとなぜか癒しを感じ、疲れが取れてしまう」といったお話を聞くんです。それは、目に映る情景であったり、空気感や風土であったり、様々な要因から来るものだと思います。また、食べ物や温泉など、たくさんの資源が限られたエリアの中に凝縮されているという点も、他にはない魅力ですね。遠方から博物館に来館、宿泊されるお客様にも、そんな奥出雲自体の魅力も存分に感じて帰ってもらいたいです。そのためにも、町内の他施設とも十分に連携を取りながら、奥出雲各地を楽しんでもらえるような新しい宿泊プランの構築もしたいと思っていますよ。町外からのお客様とっての「奥出雲の案内役」のような役割を目指せたらという想いがありますね。』
奥出雲町は、町としての規模自体は大きくないにも関わらず、宿泊施設が充実していると感じます。昔ながらの旅館や、ビジネスホテルのような施設、民家への農泊まで希望に応じて色々なスタイルで宿泊ができます。そんな中で、奥出雲多根自然博物館は「ナイトミュージアム」に代表されるように、施設そのものにアトラクション的な要素があり、泊まること自体にわくわく感を保てる場所です。特に、お子さんにとってここに泊まることは、かけがえのない思い出になりそうです。実際に、遠方からのリピーターも多いようで満足度の高さがうかがえます。価格的にリーズナブルということもあり、奥出雲町で宿泊先をお探しの方には是非お勧めしたい施設です。
奥出雲多根自然博物館
【住所】
〒699-1434 島根県仁多郡奥出雲町佐白236-1
【電話番号】
0854-54-0003
【ホームページ】
http://tanemuseum.jp/
【交通手段】
・松江自動車道高野ICより40分、雲南吉田ICより30分、三刀屋木次ICより20分
・JR出雲八代駅より徒歩20分(宿泊の方は送迎要相談)