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食と農の可能性

田部義美
奥出雲町八川地区生まれ。横田高校を卒業後、広島の短期大学で農業について学ぶ。青少年野外活動センターで勤務後、奥出雲にUターン。

農業を初めて33年が経ちました。
結婚を機に奥出雲にUターン、祖父母が始めた農業を手伝い始めたのがスタートです。
農業において1番の学びの場はやはり実践。ゼロからの開始です。

経営を引き継いだ当初はキャベツのみの栽培で、連鎖障害になりうまく作れない時期が続きました。大根の栽培も開始しましたが、奥出雲特有の土を扱うことに苦労しました。
毎週市場に運ばれる他県の大根を研究し、10年かけて品質の良い野菜が完成しました。調査の中で実感したことは”野菜の魅力は自分でコントロールするものではない、野菜たちが教えてくれるもの”ということです。新しい取り組みをやろうという気持ちは今も変わらず(今が一番高いですね!)、日々楽しく野菜たちと関わっています。

奥出雲では年々農家が減少し、中心にいる世代は60代以上。携わる若者は全体の25%しかいません。田畑の荒廃も進んでいます。次世代への引き継ぎや新しいことに挑戦する気質は伸びしろがある一方、地域を盛り上げようとする若い人たちの活動を見て、以前よりも良い変化を感じています。

”食というのは大きな魅力を持っている”
町内の学校で食や農業を教える機会をいただくことがあります。そこでは子どもたちだけでなく、学校の先生に農業の大切さや食の価値を伝えるよう努力しています。自分だけでなく、身近にいる大人が子どもたちに伝える土壌づくりにも力を入れています。子育てをするお母さんたちにはもっと野菜を買ってほしいですね。野菜を買う際にそのストーリーを知ることで子ども達が農家の人を思い浮かべるかもしれない。そんな会話が食卓で生まれたら嬉しいですね。

”ひとがやらないところを探し出すことが農業である”
料理を作るときに‘’どうやったらおいしくなるか‘’を考えると思いますが農業も同じです。考えに考えてオリジナルのものができた時、農業はきっとやりがいになると思います。地域の活性を考える際、”食”は人を集める魅力的なアイデアです。”食”はリピーターもつきやすく、評判になりやすい。その結果、外からお客さんが買いに来てくれ、同時に町を楽しんでくれる。そういった可能性を秘めています。

“やると決めて突き進めば、道は開ける”
人は選択肢がたくさんあると楽な道を選びがちです。農業は決して楽な道ではありません。ですがやると決めて突き進めば様々な人や設備が支援してくれる環境が奥出雲にはあります。

UPDATE 2017.09.10

Person

田部農園 田部義美

Editor

特定非営利活動法人ただも 平井千夏

9月に入り過ごしやすい気温になりましたね!DEEP MAGAZINE 第三弾も楽しみにお待ちください!