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 奥出雲在住の素敵なご夫妻紹介します!
~互いに学び合うことのできる良き理解者~

今回は、奥出雲で町内の介護施設でケアマネジャー)として活躍される延谷(のぶたに)ご夫妻をご紹介します。

ケアマネジャーとは…2000年に施行された介護保険法に基づき誕生した介護支援専門員のことです。

【延谷晋一(のぶたに しんいち)さん】
生まれも育ちも奥出雲。現在、上阿井の「特別養護老人ホームあいサンホーム」にケアマネジャーとして勤務。
 
【延谷素子(のぶたに もとこ)さん】
出雲市生まれ。田舎暮らしにあこがれて奥出雲町へ移住。そして、奥出雲で結婚。
現在、横田の「まほろばの郷さんさん」のケアマネジャーとして勤務。

【素子さん移住のきっかけ】

入籍したのは2015年。その二年前に「おくこい」というイベントで主人に出逢いました。
私は、とにかく田舎暮らしがしたかったんです。邑南町とか、いろいろ考えて行ってはみたんですが…。それでもやっぱり奥出雲の山が大好きで!景色が大好きで!
一度、家族(母親や祖母)と一緒に鬼の舌震へ行ったことがありました。鬼の舌震の迫力はすごいですよね。そんなダイナミックさはもちろんですが、奥出雲に到着するまでの道中の景色がこれまた最高なんです。車のナビが示すまま「樋の谷」を通って行きましたが、紅葉のシーズンでしたので風景が素晴らしすぎて!
進んでは停まって写真を撮り…進んでは停まって写真を撮り…。そんなことを繰り返していたので家族には「早く行こうよ」とせかされましたけど。(笑)

いざ、奥出雲に入ってみると「そこまでさびれていないし、町もある」そんな印象でしたね。あと、決め手になったのが「おくこい」というイベントへの参加です。
「若者が輝いている!こんなに若者が楽しんでいる町なら私も住んでみたい」思わず笑顔になってしまいます。その、輝いている若者というのが『やらこい奥出雲』という団体で、そこにたまたま主人がいたんです。

【晋一さんが介護の仕事を始めるきっかけ】
 僕は、生まれも育ちも奥出雲。奥出雲を初めて転出したのは松江市の高専へ入学するときでした。でも、中退して帰ってきたんですよ、奥出雲に。
その頃、とても暇でした。退屈しのぎに近所の知人が勤めているメガネの三城へ遊びに行ったときのこと、小学校4年生の時の担任の先生に遭遇したんです。その先生、僕が中学校に行ったら今度は中学校の先生をしているわけです。そして、僕が中学校を卒業するときには、教員はやめて介護の道へ進まれるんです。そしたら、こんなところでまた出逢ってしまうんですね。

そこで、その先生に言われたんです。「俺は、今勤めている施設をやめて新しい施設をつくろうと思っている。お前のように無職でプラプラ親のスネをかじっているようなやつは、俺の手伝いに来い!」と言われて。それで立ち上げに携わったのが「デイサービス奥出雲」です。
正直、「おじいちゃんおばあちゃんのために」みたいな高尚な思いもないし「福祉をやったるで!」みたいな気持ちもなかった。僕はもともと介護職を目指していたわけではなく、むしろ真逆でした。
僕が高校生の頃、自宅に認知症の祖母がいたんです。家にデイサービスの車が迎えに来るのも嫌だし、かかわりをもつのも嫌、こんなんじゃあ友達も呼べない、そんな気持ちで過ごしていたこの僕に、介護の仕事なんてできるかなあ…と思って、父親に相談したんです。
「こんな話があるんだけど。俺にできるかなあ」と。
そうしたら、おとなしく聞いてくれるかと思いきやガツンと叱られまして。「お前に合う仕事なんてあると思っているのか?まずはお前を仕事に合わせる、仕事に合わせてお前が一生懸命やっていくということをしていかないとお前に合った仕事は一生ないぞ!」と言われてしまって。くそおやじなんですけどね、その言葉はさすがにぐっときましてね。
 横田中学校で『人生を変えた天の声』と道徳の授業で話してくれと言われ…。そこで話をしたくらいまさに人生を変えた言葉だったんですね。


先生からの「一緒にやってみないか」という誘いと、親父の言葉はまさに天の声でしたね。やるからには一生懸命取り組んでいます。今のところ、この仕事について「もうだめだ」という場面に遭遇したことはないので継続していますけどね(笑)。

 

【晋一さんの奥出雲町暮らしの好きなところ】
人と人との距離が近いところですね。近所の方が僕たち家族のことも気にかけてくれる。
まるで「絆(きずな)」が目に見える感じ。人によっては、めんどくさいとか、いやだとか思う人もいると思うんですけど、僕にとっては安心できる距離感。とってもいいですね。

【素子さんの奥出雲暮らしの好きなところ】
自然の中で子育てができること。子どもは外が大好き。安心して遊ばせることができる。町外の人からもうらやましがられますよ、特に三成遊園地。無料だし、近いし。最高です。

【二人そろって奥出雲町の好きなところ・好きなスポットは?】
船通山!それから、玉峰山・吾妻山…とくかく「山」は好きですね。
特に大好きな船通山は、一瞬でわかるんですよ、遠くから見ても。あっちこっちから見えるんですよね。遠くに出かけたとき、帰ってくる前方に船通山がまず目に入る。町内どこにいても、目に入る、そんな感じでしょうか。

 

あと、「多根自然博物館」子どものときからの遊び場でしたから。水晶もらって帰ったり、イベントに出たり。近所に住んでいる特権ですかね。九重親方(元千代の富士)が来られた時も見てました。友だちの家に遊びに行く途中に「ヤマタノオロチ神話」に登場する鏡ケ池があったり、元結掛松(もとゆいかけのまつ)があったり長者屋敷跡があったり。わくわくする話題には事欠かなかったですね。昔に思いを馳せるという機会は恵まれている土地かなあと思います。

【お二人が日々の生活の中で大切にしていること】
晋一さん→一生懸命勉強したら一生懸命遊ぶこと。何事もバランスよく。
素子さん→笑いのある毎日。(あ~そういえば、家でもどこでもよく笑っているね、と晋一さん。)

【晋一さんの考える「これから」について】
 今の仕事で、おじいちゃんおばあちゃんが楽しく過ごせるようにできたらいいなあと思います。
 僕が、この仕事につく3ケ月前におばあちゃん亡くなったんです。今の僕だったら、当時のおばあちゃんが目の前にいれば毎日風呂に入れてやることもできるし、話し相手だってできるし、そのことが苦にも思わないし、何か失敗や問題があっても、それらすべてのことを笑い飛ばすこともできる。でも、当時の僕は「認知症?なにそれ。マジ、勘弁して!」という感じだった。今であればいろんな知識もあって技術もあって、いろんなことができるんですよ。でも、それは自分のおばあちゃんにはしてあげることはできないので、せめて自分のところに来て下さる方に、できることはして差し上げたい、そんな思いですね。


【素子さんの考える「これから」について】
実は、私も一緒なんです。高校2年生の時、家でおじいちゃんを看ていたんですけど嫌だったんですよ、おじいちゃんの介護のお手伝いが。今とは本当に真逆なんです。その時の罪悪感とか…「ああしなければよかった」とか。そういう思いが「今」につながっていると思います。
私は、元々教員をめざしていました。そこで職場体験というものがあったんですね。すごくその時のお年寄りがいとおしく思えたんです、自分のおじいちゃんには思えなかったんですけどね。
自分のそういった体験が原動力になってます。目の前の人に悔いなく関わっていきたいですから。
主人と、仕事に対する価値観はすごく似ていますね。仕事の相談相手としては最高!一番です。
同じケアマネジャーだし、互いに学びがありますね。

ケアマネジャーとして仕事はしてきましたが、どうしても介護保険が適用される範囲の業務になってしまう。でも、そういった保険内では助けられないところをどうにかしたいと思って、今年「起業スクールに」も通ったんです。

(主催者地域おこし協力隊の落合さん・起業スクール受講者のみなさんと…)

 

そしたら、たまたま参加していた他2名の方も同じ気持ちでやっていて。障害系とか医療福祉系はその二人がしてくれそうだから「じゃあ、私は子育て支援をしたいなあ」と思ってて。
どういう形にするかは全然考えてないんですが、自分の子育てを通してそれを深めていきたいと思っているんです。実は長男が特別支援学級に入ることになっていて。私は彼(わが子)からすごい学んだんです。親育ちさせてもらってる感じ。「こうでないといけない」とか「こうあるべき」とか。(そんな固定概念が)彼(わが子)のおかげでだいぶ取れましたね。その経験を、他の誰かに伝えたいと思っています。

結婚するまで勤めていた職場は「生活サポートサービス」をやっていました。保険外の業務内容で、子育て・障がい・高齢者等々年齢問わず対応していました。

 私自身がこれからやりたいこととしては、子ども支援を中心に、子育てママの集いや親子で参加できる自然体験教室の開催をしたり、新しい取り組みをやっている仲間や若者のお手伝いや応援を続けて、もっともっと楽しい仲間を増やし、笑顔あふれる処所にしていきたいと思っています。

 

UPDATE 2022.01.21

延谷晋一さん 延谷素子さん

Editor

地域づくり推進課 わたなべひさこ

 お二人の話を聞いていると、奥出雲で生きること・働くこと・遊ぶこと・家族との時間など、何気ない日常を楽しみ、毎日が笑顔でうめつくされている気がしました。 ご主人・晋一さんに初めてお逢いしたのは、我が子が中学生の時。「町内で働く方の体験談から学ぶ」という授業があり、その時まさに「天の声」のお話だったのです。リアルな話に、大人の私の方が引き込まれていった記憶がよみがえってきました。  とにかく笑顔の素敵な延谷ご夫妻。もし、どこかで姿を見かけられたら「Deep town okuizumo」読みましたよ。と声がけしてみてください。また、「奥出雲の暮らし」の深いところの話がもっともとっと聞けるかもしれません!!