困りごとから幸せをつくる。
遠藤健史(えんどうたけし)さん
今回は、今年の4月から町立奥出雲病院で総合診療医として活躍されている遠藤健史さんに総合診療科の役割や地域医療への思い等についてお話を伺いしました。
【プロフィール】
松江市生まれ。高校卒業後、自治医科大学へ入学。卒業後、島根県立中央病院、隠岐病院、隠岐島前病院、公立邑智病院、雲南市立病院を経て、令和3年4月に町立奥出雲病院へ着任。
雲南市在住。38歳。町立奥出雲病院総合診療科部長。総合診療医&ジュニアサッカーのコーチ。
◆医師になろうと思ったきっかけはなんですか?
中学時代は長距離走、高校時代はボート部で運動をしていたのですが、身体の痛みやダルさを感じ、整体師や理学療法士さんにお世話になっていました。リハビリテーション病院で、「広い視野をもつなら医師がいい」と勧められましたが、学力不足のため医師を進路にしようか迷い始めました。そこで、小学校時代の恩師に相談し、「自分のしたいことをしなさい」とアドバイスをいただきました。そして、その会場では第31回全国中学校バスケットボール大会が開かれており、松江市立湖東中学校が全国制覇をする瞬間を見ることができました。中学生が全国の強豪を抑えて全国制覇したことに勇気をもらい、「自分にもきっとできる!」と決意し、医学科受験を決意しました。
◆ 2021年4月新設の「総合診療科」とは、どんな部署ですか?
「総合診療科」は不足を補い、各部署をつなぐ「Hub(ハブ)」だと考えています。そして広範囲の知識や経験を持つことで、全ての困りごとに対応する事を目指します。
奥出雲町では他の医院さんが多数の訪問診療はされておられますが、入退院を繰り返し、なんとか自宅に退院された患者さんに、速やかに訪問診療に行く体制が不足していました。そこで、当院の鈴木賢二院長より、退院後の訪問診療の許可をいただき開始しました。また、同院長の構想である、「訪問リハビリテーション」「訪問看護」「訪問栄養」の連携を行う在宅診療センターの立ち上げにも関わらせていただきました。
在宅診療センターオープン
在宅診療センタースタッフ一同
ここ半年で、ご自宅に帰るのが難しいと思われていた入院患者さんが、自宅に帰ることができたという事を数回経験しました。この達成には、訪問診療体制を整える事に加え、ご家族の支えが重要だと考えています。困った状況だからこそ、ご家族の支えはより貴重なものとなり、患者さんの幸せを作り出すことができます。
退院された方には定期的に訪問診療をしていますが、体調不良であれば、いつでも入院いただけるよう準備をしております。総合診療科を、全ての困りごとに対応し、病院と自宅が「なだらかに繋がる窓口」にしたいと思っています。
◆遠藤先生が大切にしていることやモットーは何ですか?
一つ目は、「朗らかに働く」ですね。「曇りなく晴れやかに」朗らかにしていると結果的にうまくいくような気がします。厳しく怒りながら対応するか、迷う時も、朗らかに決めてしまうようにしています。
二つ目は、「まずは、やってみる」です。私は一歩を踏み出してから考えていくタイプなので、やってみることを大切にしています。
◆奥出雲町の好きなところ、好きなスポットを教えてください。
奥出雲病院は「森に囲まれた病院」です。今まで森に囲まれて生活したことははなく、デスクからも見える裏の森が、私の癒しスポットですね。
あとは、阿井地区、半谷の花桃の里が好きなスポットです。川沿いに花桃が植えてあって整った自然って感じがキレイです。
半谷の花桃の里(阿井地区)
◆これからについて
患者さんだけでなく、皆様、困りごとを抱えておられます。その困りごとを乗り越えるお手伝いができ、「人それぞれの幸せをつくる」ことができたらいいな、と思っています。
そのためには、医療・生活支援の両面を「地域に出て学ぶ」事が必要だと思っています。ここ半年で、医院にご挨拶に伺う、ケアマネージャーさん・健康福祉課・地域包括支援センターの会議等にも参加させていただきました。
院内の各部署の連携強化に加えて、地域活動や小さな拠点づくりと連携して生活支援事業に関わらせていただければと思っています。